行使価格修正条項付新株予約権(MSワラント)で株価下落する理由とIR解説

この記事には広告を含む場合があります。記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

行使価格修正条項付新株予約権 いわゆるMSワラント

新株予約権、発行価額、行使価格、下限行使価格

IRを読んだけど、難しい言葉が多くて、頭がチンプンカンプン😇

このIRが出ると 買い方 は悲鳴を上げます😱

だいたい次の日に株価は急落します。直前まで急騰していた場合は、ストップ安になります。

よくわからないけど、そうゆうもんなんだと思えばそれでよいですが

なぜそうなるのか、仕組みや実際のIRから解説してみましょう

赤字続きの会社が資金調達をする最後の手段

上場企業が資金調達をする方法は、一般的に2種類あります。

1つは、新たに株を発行して投資家から資金を集める「公募増資」、

もう1つは「銀行からの借り入れ」です。

しかし、赤字が続く企業は信用力が落ちているので、これらの方法では資金調達ができません

そこで、やむを得ず「特典をつけて安くするから、株を買ってください!」と赤字企業がお願いして、

買い手(引受先)がお得になる条件をつけた、株を買う権利を発行します。

これが「行使価格修正条項付新株予約権」またの名を「MSワラント」

買い手(引受先)は個人投資家ではなく機関投資家や銀行となります。

新株予約権は定めた金額で株を取得する権利のこと

行使価格修正条項付新株予約権

新株予約権とは、新株予約権を発行した会社から、あらかじめ定められた条件で株式を取得する権利のことをいいます。

「あらかじめ決められた条件」とは、たとえば会社Aの株式を1株1000円で変えるとういった条件のことです。

また、「権利」であることから、行使するかしないかは自由に選択することができます。

新株予約権の行使によって発行される株式数や、新株予約権を行使できる機関などによる権利などの条件は、あらかじめ発行前に取り決められ、取得する人との間で合意がなされています。

そして、新株予約権が行使されると、新株予約権行使時の払込額に充当されることで資本の増加として扱われます。

「行使価格修正条項」の部分が引受先の特典

行使価格修正条項付新株予約権

新株予約権は定めた金額で取得と説明しましたが、

これに行使価格修正条項が付くと定めた金額を引受先に有利な条件で変更することができます。

前日の株価終値よりも安い価格で購入できるように、毎日購入価格を修正できます

新株の引受先(資金を投資してくれる側)にザラ場よりもお買い得に株を買わせてあげるから、資金ちょうだいってこと。

もともと、IR発表時の終値の株価よりも安い値段で新株の価格を決めていますが、それよりも株価が下がったら引受先にはメリットがありません。

それを補うために、最初に発行価格を決めるけど、日々の株価の動きに合わせて引受先が確実に安く入手できるように工夫されています。

なお、引受先は新株を一度に全部引き受けるのではなく、定めた期間中に適宜取得できます。

IRに記載された類似用語

発行価額

新株予約権自体の対価のことです。新株を取得するための手数料だと思えばよい。

取得価額

発行価額が発行する会社から見た時に使用する用語であるのに対し、取得価額は取得者から見た時に使用する用語です。基本的には同じ意味ですが、取得価額に付随費用が含まれる点だけ異なります。

行使価格

新株予約権を行使して、株式を取得する場合の1株当たりの価額(取得株価)のことです。行使価格修正条項付(ワラント)でない場合は、行使価格は発行時に決められている。行使価格修正条項付(ワラント)の場合は、行使価格は前日の株価の影響で変動します。

下限行使価格

行使価格修正条項付(ワラント)の場合は、行使価格は前日の株価の影響で変動しますが、価格には下限値が設定されており下限行使価格以下では引受先は取得できません。引受先としてはこの価格で取得するのが一番安く株を入手することになりますので引受先の手腕次第ではこの価格まで下落する可能性があるということです。

実際のMSワラントのIRで解説(Aiming)

以下は2020 年2月 14 日にAimigが発行した

「第三者割当による行使価額修正条項付第7回新株予約権の発行に関するお知らせ」

のIRです。

ポイント①~⑤を解説します。

発行価格は152円。発券手数料のようなものです。

新株で出回る株式数は3,770,000株。これが希薄化へ

増資でAimingが得る予定金額は21億円

これを使って事業をやりくりするのだ。

引受先は条件満たせば株価289円で取得可能(IR発表時の終値578円)

引受先のメリットは終値の6割引きで株を取得できることが分かる。

ただし、6割引きだけど、下限価格は289円までとする。

引受先が最下限の289円で株を入手するためには終値が481円となること(481×0.6=288)。

終値が481円を下回った場合は、終値の6割引きの価格を行使価格とせず、289円固定とする。

481円または場合によっては289円まで株価が下がる可能性がある

引受先は絶対に損しないから羨ましいね

株価下落📉の3要因

株価下落の要因1「安く入手した引受先による売り圧」

さきほど行使価格修正条項とは、

ザラ場の終値よりも安い値段で株価を取得することができると説明しました。

どれくらい安く購入できるのかはIRに記載されています。

6割引きで購入できる決まりだとしたら

終値が1000円だったとしたら、引受先は600円で取得できます。

取得時点で含み益が+40%です。

こうして安く手にした大量の株をザラ場で利確してくるので株価上昇の足かせになります。

これが株価下落の要因1です

株価が下がる要因2「引受先による空売り」

引受先がザラ場よりも安い株価で取得することができるということは、空売りでも儲けることができます。

終値1000円で空売りしておいて、引き受け価格の600円で安く取得した株を空売りの返済に充てる

これによりノーリスクで引受先が設けることができます。

そのため、引き受け先が空売りするので株価が下落します。

株価が下がる要因3「発行株式数が増えたことによる希薄化」

新株として発行した株数分、発行済み株式数が増えるので

発行株式数をもとにしたPERやPBR、1株利益といった指標が悪化します。

少人数しか持っていなかったプラチナチケットがいつのまにか大量に発券されて、大多数が保持することになったら

そのプラチナチケットの価値は下がりますよね?在庫あまり状態です。

株の希薄化とは簡単に言うとそうゆうことです。

MSワラントを実施する会社は、常習性がある😟

一度でもMSワラントを実施したことのある会社が何かの材料で急騰した場合は、

後になってMSワラント発表の可能性もあるので注意が必要となる

材料はだいたいが社長が夢物語を語って吊り上げることが多い。

Aimingのようにドラクエ開発の資金という理由は将来性はあるが🧐・・。

しかしIR発表直後では株価下落に傾くことが多いので

保有株がMSワラントを発表したらすぐに損切するか、

材料が実現に向かうことを含み損のまま長い間待つかの2択になる。早期の利確は難しい。

急騰材料発表後に実施するので、個人投資家が被害にあいやすい🤕

赤字続きの会社が、

市場で話題となるニュースをあらかじめ発表して個人投資家の人気を集め

株価を急騰させた直後に

MSワラントのIRを発表することが多いです

そのため次の日に短期組の撤退売りを伴って急落することが多いです。

直前まで急騰していた場合は、ストップ安もあり得ます。

バイオ、ゲーセクに多い

私も過去にMSワラントを被弾😇

私が被弾したMSワラント企業(記憶に残っている銘柄のみ)

イグニス 2018年2月27日に秋元康氏らも出資している子会社のパルスとの業務提携など3つのIRを出しました。IR発表後に株価は1,702円から4営業日で3,400円まで約2倍。その高値をつけた日の大引け後にまさかの増資(MSワラント)を発表しました。秋元発表に私はブランジスタ再来かと高値でも構わず買いました。そしたらワラント発表で翌日から急落し損切となりました。
Aiming ドラゴンクエストタクト開発を発表し株価は4連騰ストップ高。その後寄り付いて安くなったところでエントリ(4連S高しており安くないが興奮しているため安く感じる)。2020年2月14日大引け後にMSワラントのIR発表。ドラクエという好材料がありつつも、翌日は急落して寄り付き大損切り。ドラクエ開発のための資金が必要なんだろうけど、まんまと株価が上がったこのタイミングでIRが出ました。

私も仕組みをよくわからないまま被弾してきましたが

今回で少し学べました。

今後はMSワラントの可能性があることを頭の片隅に置いて

赤字小型株の夢と付き合いたいと思います。